地元の高校を見学したときの所感


先日、地元の高校にて「Back to School Night」というイベントがあり、それに参加する方の通訳として同伴させていただきました。そのイベントは保護者のために開かれるイベントで、生徒が取っている授業の概要の説明を聞いてまわるというためのものです。あと、校長先生の全体的な説明があったりします。要は保護者のための「Open Campus・オープンキャンパス」といった位置づけでしょうか。


日本の高校レベルの教育システムとの違いを垣間みることができ、貴重な体験でした。

大学のように自分のカリキュラムは自分で組む

日本の高校では, (自分の体験では)芸術(音楽、美術)を選択性である以外は、全ての生徒は統一した時間割に従って授業を受けていました。高校2年生になると、理系・文系にわかれて授業をうけるようになりますが、特に自分の時間割を自分で全て調整したり、個々の授業登録の手続きをする、といったこともしません。高校3年生でようやく、自分の大学の志望校に合わせて、理科と社会の分野を選ぶということをしましたが、全体として画一的なスケジュールで勉強していたといえるでしょう。


この日はアメリカの高校の授業スケジュールを見る機会があったのですが、驚いたのは自分が大学院で受ける授業を1つ1つ吟味して選択するように、彼らも自分の授業スケジュールを1つ1つ作らないといけない(逆に言えば自由に作成できる)ようになっているということです。1学期(セメスター)にとる授業は7つほど。1日あたり3,4コマの授業を受けるようなので、随分大変そうです。授業によっては、人気があるため登録したくてもできなくて、結局1年待たないといけなくなったりすることがあるようです。結果として起こることは、「単位が卒業までに揃わなくて、留年する」ということです。勉強をさぼって単位が揃わないのは理解できることですが、「高校で授業の登録ができないがために、留年しないといけない」というのは日本の常識では考えられません。


余談ですが、(アメリカの)大学でも似たようなことがあり、通常4年で卒業できるところを5年、6年かけて卒業せざるを得ない生徒が少なくないそうです。以前、ゴルフ場で一緒に回った人が言うには、「Santa ClaraとかSan Joseあたりの大学ではごく普通の現象」なのだとか。大学院では(すくなくとも航空宇宙工学科では)そういう事例を見たことなかったので、これも驚きでした。


また高校の成績の平均値はGPA (Grade Point Average)は大学受験にとって重要な数字です。大雑把にアメリカの大学の合格判断は1)GPA, 2)SATという共通テストの点数, 3)エッセーや推薦状 によって決定されるそうです。GPAについては、「どの学校(高校)で獲得したGPAか」という「学校のレベル」まで加味されるそうです。極端な話では、相対的にレベルの低い学校でAをとったとしても、それはトップ校でのBとして換算されたりするのだとか。。。このため、高校教育までが義務教育の国であるアメリカでは、「(公立高校へ行く生徒は)熾烈な学区争い」があるそうです。公立学校へは、その学区内に居住している人でないと通えません。故に、いわゆるレベルの高い学校 (大学) へ進学しようとするならば、「よい学区選び」が鍵となるそうです。必然的にそのような学区の不動産の価値は上昇します。


さて、日本でも1時間目から6時間目まで授業を受けていましたから、数としては特に違いはないですが、授業の概要を説明したシラバスを見せてもらってさらに驚愕しました。


課題が多い、明瞭な評価システム

まず第一に、「大学と同じように、課題が多く、成績のつけ方が明確に定義されている」ということです。例えば、English (国語)の授業の課題としては、

  • 毎授業ごとに出される宿題
  • 定期試験 (小テスト、中間テスト、期末テスト)
  • 読書課題 (小説を読んで批評を書く: 1年で8個)
    • 最低300ページある小説を読み、批評を書く。
  • エッセー課題

とある。また生徒の成績のつけ方も明瞭にされていて、例えば

↑のように、示されている(実際は文章で)

  • Exams (Quiz, midterm, final): 50%
  • Homework: 30%
  • Attendance: 20%

という感じだが。。


これっていうのは、大学(大学院)でやっていることと同じです。高校レベルでここまで仕組みができあがっているということにすごくカルチャーショックを受けました。また、欠席や遅刻に対するペナルティーも厳しく、「欠席は総合評価からマイナス2点」だとか、「欠席後1日以内に先生と面談しないといけない」とか、宿題の遅延なども厳しいようです。日本の高校(および大学)では宿題というのはほとんど評価に加味されず、試験の成績だけでついていると思います。それがいい、悪いは別として、随分と違うものだな、と実感しました。


また、

  • A+: 97.5点以上
  • A: 97.4 - 95.0 点
  • A-: 94.9 - 92.5 点
  • .....
  • F: 50.0 点未満

といった具合で点数と成績の関連付けも明確にシラバスに記載されていました。


高校にはベービーシッターがいる?

実は、これが一番の発見かもしれません。


ある女子生徒が赤ん坊をだきかかえて、校舎内を歩いていました。そこで私が、「あの娘はベービーシッターのアルバイトでもしているのかなぁ?」と聞いたところ(もちろん本人には聞いていません)、「違う、あれはあの娘の自分の子。若くしてできてしまったから、学校につれてきて面倒を見ているの。この変では珍しくないことだ。」と。






しょえぇー。...