ドアの開け方を自分の子供に教えるには?


どうもこうも(研究の)実験結果が思わしくえられない。


これはどうも小手先だけの付け焼き刃な改善方法を数々試してばかりいたり、一見変化はあるが本質的には間違った(正しくない)手法を繰り返しているのが主な原因ではないか? とふと思った。一応それらの(ある意味バラエティに富んだ) 方法によって制御システムの性能、パフォーマンスは向上してはいる。が、究極的に目標とするレベルには100年経っても達せんぞ、これは、と直感的に感じたわけです。


これは取り組んでいる工学問題に対するアプローチを本質的に変えてみる必要がある気がする。根本的に変えてみる、といった方が正しいか。


具体的にどう変えるかは、明日からの短期の課題。



この気づきに至ったのは、ふとBen Hoganの本を読み返していたときだ。また趣味の本だが、日記のプロフィールにもある通り内容の90%は趣味、残り10%も趣味に充てると宣言しているので仕方がない。

If you were teaching a child how to open a door, you wouldn't open the door for him and then describe at length how the door looked when it was open. No, you would teach him how to turn the doorknob so that he could open the door himself.

Similarly, in these lessons our method will stress what you do to achieve the result you're after. The actions that cause the result --- these are the true fundamentals of golf.
(17ページより)

Ben Hogan's Five Lessons

Ben Hogan's Five Lessons

要は(解釈の仕方によるが)、「ある目的があって、その目的の結果の状況を事細かに解説してあげたり、自分で吟味してみても、その結果を得るための解決にはならない。その結果を引き出すために根本的になすべきこと、的を得た行動 (the actions that cause the result) をとらなければならない。」ということだ。


上の例文では、子供にドアの開け方を教えようとしている。


無論、完璧にドアを開けることができた暁には、ドアが(閉じている状態から)90°なり、135°なり開いていて、開いたドアの向こうから燦々と太陽光が差し込み始めているかもしれない。で、加えてノブには指紋が付着してると。


が、当たり前な話だが、その子にそれらの「ドアが開いた状態、結果」を丁寧に解説したところで、彼/彼女がドアを開けられるようにはなることは99.999%ない。


その代わりに、「ドアノブを(左右のどちらかの手で)握って、時計回りに回すこと」を教えるのが正しいのである。


1)手で握って、2)時計回りに回す、この2つの基本事項を単に忠実に実行するだけでドアが開いてしまう(ドアに歩いて近づくとか、そういう細かいプロセスは無視)。



さて、ゴルフというととりわけ「スィング」についての関心が高い。ゴルフ中継、雑誌、個人ブログなどでプロの素晴らしいフォームについて解説されていたり、「頭を残せ」とか、「肘はこうだ」、「ひざはこうだ」、「肩は、、、」、「リストのコックは、、」とかという類いの無数のアドバイス, tipsが丁寧に記述されている。が、それらは概して結果を述べているにすぎない気がせず、すなわち「ドアが開いた状態」を説明しているにとどまっているのではないか。いくらその結果(素晴らしいフォーム)を真似しようとしても、意図する結果(理想とするショットや、いわゆる正しいフォーム)はでないだろう。例えば、プロがクラブを振ったときに「頭が残っている」のはあくまでも正しい行動をとったから頭が残っているだけであって、意図的にそうしたわけではない。というには完全には自信が無いが、頭を残さないように運動するよりも、もっと別のことを意識してアクションをおこしていると思う。少なくとも、「頭を残せ」と指導するのは「結果を述べている」だけであって、「頭を残すためにとるべき運動」を指示しているとは思えない。それはあくまでも「ドアが開いた状態」(結果)のはずだ。


フォームを真似するのではなく、そのフォームを再現するには身体のどの部分を動かしたらよいかといういくつかの基本事項を正しく学習し、実行できるのが不可欠だとHoganは説いている。「ドアノブを回す事」(行動)を教えているのだ。



この部分(と後の8つの基本事項について)を読んだときに、自分の研究でも「ドアの開いた状態ばかりを気にして、ドアノブを回す事を忘れているのではないか」、っとふと思ったのでありました。これでは、大きな進歩は望めないと。



もし多くのレッスン書や記事に書かれている「頭を残すこと」などを意識させるといいボールが打てるんだったら、100を切るゴルファーの数は10倍以上存在するはずだ。