Stanford University 学校事情(8): 大学院に応募するには?

今回は大学院への準備について紹介.

以前は書かないと宣言していましたが, 近日中に尋ねられることが予想されるのでその原稿・フォローアップとして.

概要

アメリカの大学院に応募するために必要な書類などは以下になります.

  • Statement of Purpose (いわゆるエッセー)
  • Letters of Recommendation (推薦状3通が標準)
  • GPA (Grading Point Average, 成績の平均値)
  • TOEFL, GRSのスコア
  • 出願料($50〜100程度, Credit cardで支払い可能)

学校・プログラムに依存しますが, 上のリストは優先順位が高い順に並べてあります. 数値化されない書類(エッセー・推薦状)が最も重要だというのが経験から得られた結論です.

準備には1年くらいかけました(かかりました).

通常秋からスタートしますので, 大体の〆切はその年の1月くらいが目安になり, 前年の年末には全て提出し終えて年を越すというくらいが望ましいです.

私は4年生で研究室生活が始まったころに本格的に準備を始めて, テストを受験、出願書類をどう揃えるかなどを夏まで行い, 夏休みくらいからエッセーの原稿を書き始めました.秋(10月ごろ)にGRETOEFLを受けるのを最後にして11月にはエッセーの仕上げと推薦状を書き上げてもらうお願いに勤しんでいました.12月初旬には全て提出し終えたと記憶しています.エッセーに最も時間を費しました.

(余談ながら, 卒業研究はかなりほったらかしにしていました.卒論は1.5ヶ月くらいしかやっていません.先輩方には多大なる御迷惑をおかけしました.)

ついでに, よく質問があるんですが, アメリカ大学院へ申し込むにあたって, 各大学で用意された試験(大学入試の2次試験みたなもの)はありません. 随分昔のある漫画で "いまからハーバード大学の入試問題を解け" というセリフがありましたが, あれはまったくのでたらめ. 試験はTOEFLGREのみ.MBAやLLMなどは別の統一試験があったりします.

あと学部と大学院の専攻が異なるのは全く問題なし.というか不問.


Statement of Purpose

StanfordGuide to Graduate Admissionには以下のように説明されています.

The statement of purpose should describe succinctly your reasons for applying to the proposed program at Stanford, your preparation for this field of study, your study and research interests, future career plans, and other aspects of your background and interests which may aid the admissions committee in evaluating your aptitude and motivation for graduate study.

If you are applying online, prepare your statement in advance. Make sure to set your computer to a Western European or other English language setting. We cannot guarantee the ability to print your statement if is submitted in other fonts. If you are applying on papper, include the state ment of purpose with your application.

Applicationを準備していた大学4年生のころは英語の説明書きを読んだだけで, へへー、とひれ伏していました. が、要はStanfordでなぜ勉強・研究したいのか, またどういった分野に取り組みたいのか, さらに学習した成果を将来のキャリアにどう生かすのかを論理立てて簡潔に書いて下さい, ということです(説明長すぎ?).

すごーく単純に書くなら,

21世紀は人類が未知の宇宙へ向けて躍進していく世紀である.Stanfordでは宇宙工学の最先端を研究することができ, 将来宇宙開発に携わるために必要不可欠な機会と場を与えてもらえる. Stanfordで学ぶこと・ネットワークを生かし得て宇宙と地上を低コスト・高耐久性に優れたSpace Planeや, Space Colonyの建設を担って行く.

さらにおしなべて,


[経緯] - [学習・研究目標] - [将来像]

を筋道が通るように分かり易く説明するのがStatement of Purpose(SOP)の目的.

ちなみに入学後にSOPに書いた通りに勉強を進めないと行けないという規則はありません.興味などが変わることもありますし, 論理の整った文章表現力と明確な目標設定ができているかどうか否化がSOPで問われていることです.

SOPは次の推薦状と並んで, admissionを得るにあたって最重要要素の一つと言えます.


Letters of Recommendation

推薦状です.通常は大学の指導教官などをふくめて3人からもらうことになります.企業から, 働いてから大学院へ行く場合は, 3人の内1人はacademicの人間であること, などと規定があります. 内容および誰に書いてもらうかというのは非常に重要です.

以下はStanfordの例:

Prepare a list of three recommenders. At least one should be a faculty member at the last school your attended as a full-time student unless you have been out of school for more than five years. Sustitutions for caculty recommendations may include work associates or others who can comment on your academic potential for graduate work. If you are applying online, prepare inadaance the name, title, address, institution or business name, and email address of all your recommenders. Immediately after you enter your recommenders' contact information online, your recommenders wil be sent an email asking them to submit a letter of recommendation electronically. If you are applying on paper, indicate on the recommendation forms whether you are waiving your right to see the recommendation and request that three individuals submit a letter of recommendation. Recommenders should seal their letters in letterhead envelopes if possible, sign across the seal, and mail them directly to the department. Please remind your recommenders of the application deadline and supply them with the department address (if applicable).

私の場合は学部の指導教官, その指導教官から巣立ちしてラボを持った若い教官, 大学1、2年のときに数学を教わった教授, 3名にお願いをしました.スケジュールの都合などがあり, 3通揃えるのは思ったよりも大変です.


GPA

学部時代の成績の平均値です. 日本の大学院を修了している場合はそれも含めるかもしれません. GPAは成績を数値化してその平均値を提出します(成績証明書, transcript, の英語版が必要). Aは4.0, Bは3.0, Cは2.0として平均値が4.0に近ければ近いほどいいです. あとA+ = 4.3, A-=3.7, B+ = 3.3 などという評価もありますが, 日本の場合は例外かもしれません. A+を結構とった人はGPAが4.1とか4.0を超えてしまうことがあります.すばらしい.

これも重要. 大学院へ行くつもりなら, 学部時代に遊びすぎてはいけません.(逆にまったく遊ばないのも考え物です.) GPAがよくても授業に(最初)ついていきにくいかもしれませんから. GPAが3.0前後だったら要注意.4.0近いのが理想です.が, 私は3.70でした....


GRETOEFL

GREはGraduate Record Examinationsの略でETSが行っている統一試験です.大学入試のセンター試験みたいな感じですね.スコアも大切ですが, 私の経験(工学部への入学)では, スコアさえ提出していればよい, といった感があります. Financial Aidを貰う とかなら話は別ですが.試験を受ける1〜2ヶ月前くらいから準備を始めればよいでしょう.Verbalで高得点を狙うなら, 1年〜半年くらいの準備が必要なのでは? 私はVerbalは本試験で全てヤマカン(ランダムに答えをマウスでクリック)でした.結果310点.

TOEFLもETSの管轄です.これはMS以上のmonopolyだと思うんですが...だって試験料一人$130でしょ.ETSには競争相手もいないし.GREやSATなど数々の試験という試験ってETSの支配下にあるわけだし...

StanfordのEngineeringにはMasterが230/300点, Ph.D.が250/300点が最低条件です.TOEFL足切りだけに使われているような気がします.私は233点で最低ラインぎりぎり.

対策等は全知全能の神: Googleに聞いて下さい. TOEFLは所詮はテスト. テスト対策は日本の出版社の教材の方がよいかもしれません.

テストは必要最低限をとるように心がける.


結果

SOP, Lettersは文句無し、完璧の出来. TOEFL=233, GRE=Q:780/A:610/V:310. GPA=3.70. 数値化されたものはかなり不出来. 多分合格者中で最低かと...

Admissionは Stanford University, University of Michigan, あと Purdue University から貰いました. MITはTOEFL足切り(250がカット)で門前払いでした...当初はPh.D.でMITへ行く, という計画があったんですが, シリコンバレーに居座ってからここの環境のよさに慣れてしまってそのような考えは消えさってしまいました.

上記の結果から,


こんな程度(のスコア)で大学院へいけるんかいなー!

と思ってもらえればしめたものです. もし行きたいと思うなら直ちに挑戦しましょう. 入るのはさほど難しくありません. が, 出るのは易しくありません.

余談

Stanfordへ送った願書についてのエピソード.

2002年3月.大学卒業間近でそろそろStanfordから結果が届いてもいいなと思っていたころ, Emailが入る.
Thank you for applying to Stanford University. To date, your application file is missing 3 recommendation letters.

We hope to receive these documents soon as we would like to forward your application to the Admissions Committee for review.

おーきたきた♪, と思ったら

推薦状がないだと!?

けっして, 我々がなくしました、すいません、と言わないのがいいところ.
文句を言ってもしかたないので, もう一度3人の先生にお願いしてプリントアウト、サインをして封をして, 速達で送りました.EMSの控えがあるし、Trackingもしていたので到着していないはずはないんですがねぇ... 12月中に到着していたんだけど.

それからまた1ヶ月以上待って初夏の陽気の5月上旬にようやくAdmissionをいただきました. Applicationを出してから待つこと6ヶ月. こういうことが起こりますので書類が届いているかどうかは必ず確認しましょう.

For more info.: http://gradadmissions.stanford.edu/