新しい仕事: Charge Management

seihiguchi2006-01-17


(いつ完成するかまったく未定の)学位論文の研究は、超高精度の温度制御なのだが*1、今学期はRA*2用に別な仕事をもらった.「2ヶ月後(4月)までに、新しく導入する方法で実験データをばっちり取っちくり, はっはっはっ」だって.


「Charge Management」というサブプロジェクト名で、これまた熱の外乱を除去するのと同じように、「宇宙線の照射による電荷の蓄積(=外乱, 重力波検出には邪魔物)を中立化するように制御する」のが目的.


(重力はを検出するための)センサーは1つの立方体をした金属(proof massと呼ぶ)の両端に数mmのすき間を空けて, 別な金属板(電極板)が置かれたもので, コンデンサを想像されるとよいかも. 宇宙線によって余計な電荷が貯ると, 電位差により力(静電気力)が発生し、その力がセンサーの稼働部分(proof mass)に余計な変位(displacement)を与えてしまうため、(重力波による)変位を正しく測ることができなくなるのだ.


1年前くらいは, FPGAのプログラミングをするためにVHDLを付け焼き刃で書いたり, かなりわけのわからないXilixのソフトを使ったりしたが (Windowsを使わないといけなかったのが余計にストレス)、今回の任務も自分のバックグラウンドとかなり相関性のない内容... けど, プロジェクトの核心的, 最重要項目1つなのでしっかりやりたい. これは物理法則に忠実に則った現象を取り扱うから頭の肥しにもなる.

*1:低周波数の熱的外乱 (例えば太陽の放射熱) を受ける宇宙空間において、宇宙機 (spacecraft)に載せられた観測装置の温度変動を安定化させるアルゴリズム (control law)を考え、実験で実証する. そのspacecraft自身は何をするのかというと、重力波(gravitational wave)という宇宙空間に漂う波を突き止める(detect)するのが任務. 例えばLISA, LIGOなどという世界規模のプロジェクトがある. うちのグループはLISAをやっている.

*2:Research Assitantship: 主に院生が生活するための収入源+授業料も全額払ってもらえる仕組み, http://d.hatena.ne.jp/seihiguchi/20050813/1123936725 など参照