The Rules of Golf: エチケットとマナー

seihiguchi2006-02-24


2006-2007年度のThe Rules of Golf (ルールブック)がUSGAから送られてきた. 年初めから会員になるとルールブックは特典の一つとしてもらえるわけだね. なら去年買う必要なかったな...


ゴルフのルールブックの面白いというか、一風変わった点としては、第一章が「エチケット」から始まることである. 恐らく、他のスポーツのルールブックを眺めてみても「エチケット」について言及することから始まるものというのはないのではなかろうか? よく一般に、ゴルフはエチケットやマナーにウルサいと言われているようではあるが、決して特別小難しいものではなく、日常生活におけるごくごく基本的な礼儀をゲームに当てはめただけのものである. つまりは、

  1. 安全に十分に配慮し、
  2. 他人の迷惑になることをせず,
  3. モノやコースを大事に扱う (拡張すれば、感謝する)

というものだ.


ちなみに、違反すると条項33-7の定めるところにより競技失格となる場合がある.

In the case of a serious breach of etiquette, the Committee may disqualify a player under Rule 33-7.

The Spirit of the Game

All players should conduct themselves in a disciplined manner, demonstrating courtesy and sportsmanship at all times, irrespective of how competitive they may be. This is the spirit of the game of golf.

ですと.

同伴者への配慮

これが結構個人差があり、判断が微妙なポイント.

"No Disturbance or Distraction"

Players should always show consideration for other players on the course and should not disturb their play by moving, talking or making unnecessary noise.

Players should ensure that any electronic device taken onto the course does not distract other players.
(これは携帯電話の弊害だな)

同伴者がプレー中(スィング、パットなど)に話しかけたり、雑音を立てたりしないというのは当然なのだが、けっこう難しいのが相手へかける声. 彼らがミスをしたときに、笑ったり、ちゃかしたりするのは言語道断であり(そういうのに巧く対応できる人間ができた人も中にはいるのではあるが)、つい先日のエントリー*1で書いたような挑戦的なコメントを連発するのはやめたほうがいい. まぁ、距離感やクラブ選択にいちいち気にかけるのはどうかと思われる方は多いかもしれないが...


逆に難しいのが、相手を褒めること.


随分以前、ゴルフを初めて間もない頃、初対面の3人組と回ることがあった. その内の一人がtee shotをまっすぐ打ち、fairwayへのっけたので、「Good shot」とうっかり言ってしまったところ、むっとした表情をされた (正確になんて言われたかは覚えていない). 多分、嫌みっぽく聞こえてしまったのだろう. イントネーションが悪かったかな?

上級者は、fairwayのどこへ落とすかってことを常に考え、それを実行できる能力があるので、初級者よりもより満足度の基準が厳しい. 確か、fairwayへは行ったものの左足上がりの簡単ではないlieで, アプローチがやりにくい場所だった気がする...

あたり障りのないことを言うのが一番いいか...? それか、相手の表情を確認してから言葉を選択するとか...? 相手のハンデによって、コメントを考える必要がある.


なんだかんだいって、褒められて真剣に怒る人ってのは稀なので、度を越さなければトラブルになることはまずない.... でしょう.


「借り切りゴルフ場のプレー環境」

私の好きな中部銀次郎氏に関する論考を読んでいたときに、ふとどっきりしたこと. これもエチケットに関することであり、同伴競技者への配慮の本質的な姿勢を説いているものだ.

つまり、同伴者が「借り切りゴルフ場」でプレーしているようなできる限りで最高のプレー環境を作ってあげられるように思いやってあげるということ.

(以下は抜粋)

「借り切っているような環境を作ることって、具体的にはどういうことですか?」と尋ねた。


「わたしの知り合いで、銀兵衛とは初対面の男とプレーした時、その男がボールを曲げて林の中に入れたので、ハイ、駆け足と言って私が急がせたんです。そしたら、そんなことは言ってはいけない。一緒にプレーしているプレーヤーに出来得るかぎり最高のプレー環境を作ってあげるのが、エチケットではないか。


その人ひとりが、ゴルフ場を借り切っているような環境を作ることだ。これはプレーの遅延とは別問題だ。その組のプレーヤー全員でカバーし合うのが遅延なのだから、誰かがトラブルに直面したら、他の人が時間を割いてあげればいい。自分がトラブルに遭った時は他の人がそうしてくれるのだから、持ちつ持たれつだ。


自分以外は誰もいない、と思わせるくらいのゆったりした環境をお互いに作りあってプレーを進めていれば、リズムも良くなりかえって進行状態も良くなる。」


中部銀次郎の流儀: http://golf.dunlop.co.jp/magazine/nakabe/nak_019.html

自分自身、プレーの遅延(スロープレー)をすごく気にしてしまう癖があり、ちょっと後ろがつまってきたりすると他人をせかしてしまうことがある. スロープレーの防止は重要だが、スロープレーになってしまった原因は自分にもあるわけだし、他人への配慮・エチケットという観点からして同じ組の人をせかしたり、責任転嫁、責任を押し付けるような真似をするのはとても悪いことだ.


この「借り切りゴルフ場の環境を作ってあげられるように周囲へ心配りができなければならない」という氏の教えに身が竦む思いがした.