己を知り敵を知らば百戦危うからず (己知彼知): プラン(戦略)を組立てるプロセスは無視できん。@ Poppy Hills

先月プランを立てたもののそれにコミットできなかったことと、事前の体調管理を怠ったために散々な成績に終ってしまったPoppy Hillsへ誘われて遠征してきた。過去5回の平均ストローク数は98-99の間であるので、エゴは捨てて今回も前回の7月のときとほぼ同じプランでいくことにしました。無論、前回で間違いがあった部分は修正しています。例えば、9番ホールの第2打目や、11番Par-3のクラブ選択など。控えめに修正するだけでなく、前回はボギーでよいとした17番、18番ホールなどはパーであがることにするなど目標を1段階上げている箇所もあります。が、総じて自分のパーは90。front-9もback-9もパーは45です。


成績は、過去の平均ストローク数を10くらい更新する89で終わりました。Poppy Hillsの9ホールの最小スコアは48であったので、今回の後半の42という数字はよい。4つほどグリーン周りで取りこぼしはあるのだが。100ヤード以内のゲームを見直すこと(距離の計測、ショットの落とし所の吟味、チッピング、パッティングの精度)で更に7-10打は近い将来縮められる感はありますが、よいスコアが出せたのは素直に喜ぶしかない。10打も縮まった大きな原因は、(1)プラン、(2)パッティングを中心とするショートゲームです(直前にちょっと練習した)。結果的に35パットというのは不本意な数であり、後半はパットの技量次第では38,39くらいのスコアがでなくもなかったとはいえ、1.2m以内のパットは100%成功しました。プランが「よく」、ティーショットおよびパッティングが「まぁまぁ」だったので(コースレート、ハンディキャップから換算した) 普段の平均的なスコアにまとめられたと思われます。これで更にパッティングが「よく」できていれば85前後の(コースレートから考えると)出来の良い結果に、ティーショットも「よく」できていれば上出来の81前後の結果になるのでしょう。

Poppy Hills (71.0/134)

Hole 1 2 3 4 5 6 7 8 9 OUT
Yardage 378 115 364 505 381 139 351 348 490 3098
Par 4 3 4 5 4 3 4 4 5 36
Score 5 4 5 7 7 3 5 5 6 47
Putt 2 3 2 2 2 2 2 1 2 18
+/- Boggy 0 0 0 +1 +2 -1 0 0 0 +2
Hole 10 11 12 13 14 15 16 17 18 IN TOTAL
Yardage 472 168 494 371 385 172 402 146 467 3077 6175
Par 5 3 5 4 4 3 4 3 5 36 72
Score 6 4 6 4 4 3 6 3 6 42 89
Putt 2 2 2 1 1 2 2 2 3 17 35
+/- Boggy 0 0 0 -1 -1 -1 +1 -1 0 -3 -1


さてちょっと前にGMSのポッドキャストから拝借しましたが、81のスコアで上がるための「ガイドライン」は、

  • 6 GIRs (Greens In Regulations, 18ホールのうち6ホール、パーオンを達成する)
  • 32 パット
  • 6 Fairways (14回中6回フェアウェーキープをする)
  • 平均217ヤードのティーショット

が基準となるそうです (参考: Golf Made Simple: How To Score 81 On The Golf Course)。ティーショットなんてのは200ヤードちょっと飛ばせばいいわけです。どうやら、ゴルファーには「Correct Expectation」が足らないそうです。80台前半でプレーするには、11, 12個のGIRsが必要だとか、250ヤードのドライブが必要だとか、妄想を抱き過ぎだそうです。GIRsが11,12個, 平均250ヤードのドライブのレベルに達していれば、それはスクラッチプレーヤーあたりの「Correct Expectation」でしょう。80台でプレーするには平均で200ヤードちょっと程度の飛距離でよいのです。


自分の数字はどうだったかというと、

  • 5 GIRs (#2, #6, #15, #17, #18)
  • 35パット
  • 7 Fairways
  • 平均およそ205ヤードのティーショット (180ヤードしか飛ばなかったのもあれば、約240, 250飛んだのもある。が、ロストボールやOBはない。)

でした。自分の場合、距離がでない部分をショートゲームでカバーする傾向があるので、よいチップを放って、パットは29-31パットくらいに収めたい。とくに、レギュレーション通りにグリーンを捉えた場合に3パットを2回犯している事実も見過ごせない。どんなレベルであれ、飛距離やドライバーのうんちくを語る以前に、ショートゲームの改善の余地を考えるべきだ。スコアを縮めるのが目的ならば。。。なぜなら、270ヤードのドライブも、1mのパットもスコアカードの上では、「等価な1ストローク」です。10球連続で270ヤードのドライブを放つことと、10球連続で1mのパットを成功させること、を比較すれば後者の方が身体能力に関わらず十分可能なことであり、尚かつスコア、ハンディキャップを縮める上で効果は高いでしょう。

ラウンド前には、ヤーデージブックにプランを記入せねばなりません。

さて、ヤーデージブック (yardage book)に書き込まれるプランというのは、あまり綿密なことは書いておりません。


主に書いてあることは、

  • ティーショットに使うクラブ。および、狙うべきターゲット(構える方向)。
  • Par-5 の場合, 3打目が打ちやすい場所に的確に運べるクラブ。Par-4の場合は、Lay-upして、あわよくば寄せワン (Up-n-down)が狙えるかもしれない地点、よほど阿呆なことをしでかさない限り、ボギーで上がれる可能性が高い地点。
  • グリーンセンターを捉えるのに最も確率が高いクラブ。
  • 過去のプレーでアプローチに使ったクラブ、および結果。
  • 打ち込んでいいバンカー、と、是が非でも避けるべきバンカー、ハザード。例えば、グリーンから30-50ヤードくらいに配置されているバンカーは絶対に入れないようにしている。他の例では、13番Par-4のグリーン右手前のバンカーは私は大嫌いなので、これは絶対避けるものしている、とか。
  • グリーンの傾斜の方向や、安全に2パットで上がれそうな部分。
  • Par -3などは、ピンを狙って構えたり、クラブを選択する傾向がある。それを避けるために、「必ず、グリーンセンタをターゲットとすること」などとメモ書きをする。また、11番のような難しいPar-3の場合は、「ピンが一番手前の段にない限り、狙わない」とか。基本的にPar-3のティーショットやアプローチはグリーンのどこかに、特に中心に乗れば合格である。
  • 自分にとってのパー。Poppy Hillsは18ホールでPar-90, 過去の平均ストローク数が6.0を超える1番ホールはPar-6に設定しています。
  • 過去のグリーンにたどり着くまでの平均ストローク数、およびパット数。

こんな感じです。プランを書いたら、それは確実に実行されねばなりません。くれぐれも同伴者らに惑わされないように注意(つまりひたすら無視するか、聞いているフリをする)。「ティーショットで5番アイアンを持つこと」と書いたら、他の3人がドライバーを持っていたとしても恥ずかしがってはいけません。他人と違うことをしていることを恥とするのが恥。そもそも、ティーショットに最適なクラブが常にドライバーであるとは限りないからです。

「自分の能力および強み・弱みを正確に評価して、自分の期待値を明確に数値化し、予想される障害や問題と過去の傾向・失敗を書き出して、現実にどのように対応していくか」

を書いたのがプランです。これは特に特別変わったプロセスではなく、むしろ日々日常、仕事や勉強でやっていることと何ら変わる事はありません。会社をつくり運営していく上でも、事業計画書、なんてものも作るではありませんか。国家もプランを作って政治を行います(どこぞの国は、プランなしで海外遠征してたりしますが。。。そういう例外はおいといて。)。


ボールは曲がって当たり前、失敗して当たり前なのがゴルフというスポーツに常に付きまとう事実です。ならば、スライスを直すためにドライバーばっかり打っている暇があったら、自分のクセや傾向、統計情報を基にしたプランを作り、自己コントロールをしてみるのは価値があるはず。


クラブおよびターゲットはミスの被害を最小限に抑えることを前提として選択される

プランを立てるのは、安定して(consistentに)よいスコアで上がることが目的です。ショットを打つ前に考えるのは、予想される障害、特にミスをした場合に何が起こるかを想像してから、クラブやターゲットを選択します。例えば、Poppy Hillsの18ホールのようなグリーンを例にあげますと、当日の3打目はピンまでが丁度130ヤードのup hill, 夕暮れで気温は下がっていたので昼間よりもボールは幾分飛びにくくなっていたはずです。旗はグリーンの前側にあり、飛距離の観点「だけ」で選ぶと丁度7番アイアンくらいが妥当です。が、ここで気に入らないのは、まぁまぁよい当りが出て、尚かつかなり真っすぐ飛ばせた場合にだけグリーンを捉えるということです。それ以外は、左右のバンカーに捕まって(これらは入れたくないバンカー)しまうでしょう。特に今日はショットが軽く左から右に曲がりやすかったため、手前のバンカーの右側に打ち込んでしまうと、このホールを5つで片付けるのにはかなり厳しくなる。


実際問題、ピンに向かって打つ必要はない。グリーンの中心を最も高い確率で捉えることのできるクラブを選択した方が結果はよいはずです。バンカーに入れたり、グリーンを外すよりは、グリーンの真ん中近くに乗せた方が2パットで5つで上がる確率はよいのは確かです。18番のグリーンは難しいので、特にピンよりも上に付けてしまった場合は 3パットを犯すことは覚悟の上ですが、悪くてもボギーで上がれることは保証されます。6Iの飛距離だとよほどおかしなミスをしないかぎり、砂場遊びをすることもない。7Iだと、バーディチャンスは生まれるが、逆に7つ、8つで上がらないといけなくなる可能性も同時に増します。例えば、この世で超エリートに君臨するウェッジの名手Phil Mickelsonのサンドセーブ率は46%あたりだそうです (one of the best players on this planet...)。地球上のトッププレーヤーでもせいぜい2回に1回しかSandyが取れない。だったら、まだ30フィートの下りのパットを2つで上がるほうが確率がいいのではないでしょうか、というのが6Iを選んだ最大の理由。


私の中のアルゴリズムは「ミスを最小化」することが基本ですので6Iを選びます。打ち直しが許されるのなら(それはルール上ありえないが), 7Iで打ちますが、ゴルフはミスを足し算(またはミスを時間で積分)するスポーツですから、7Iを選ぶのはよっぽど調子がよいときでないとありえない。消極的な選択、ととれるかもしれないが、「平均的に」確実にスコアメイクをするのなら6Iの選択は正しかったと思う。残り距離だけでクラブを選択するのは卒業して、起こりうる結果、シナリオを頭の中でモデルを作り、何通りかのシミュレーションをしてみて、期待値 (確率x数字)が最も低くなる選択をするのがスコアを縮める上で有効なのではないだろうか?


(実際)しかしながら、なぜか6Iを短くもって軽くうったのにも関わらず、かなり馬鹿当りしてグリーンの奥に付けてしまい、3パット、ボギーであがることになってしまった。。ブートキャンプのせいで無駄に飛距離が出てしまったのかもしれない。後で思ったことだが、6Iで打つ場合は、必ず下りの激しく曲がるパットをすることになり、3パットする確率は高い。それだったら、わざと8Iで打ってショートさせて、チップで寄せるのも手だったかもしれない。


ミスを取り返そうとしてはいけない。

恐らく「プランを立てたけど、プラン通りに上手くプレーできず、大たたきしてしまったら」パニックになるかもしれません。それで、次のホールでバーディーやパーを取って無理に取り返そうと試みるでしょう。プランには、ボギーかダブルボギーで上がることを目標にしているにも関わらず。力量以上の無理を試みるとさらに大たたきのホールを積み上げる結果になることが多いはずです。パーで上がれないからこそ、ハンディキャップがあり、ハンディキャップ18のプレーヤーは、平均してボギーで上がるのがパー・プレーです。どんなにスコアが悪くなったり、調子が出なくなったとしても、プランに忠実にプレーするべきです。大きなミスをしでかしたら、きっぱりと忘れてしまう。これに尽きます。過去におこったことはやり直すことはできません。ドラえもんがいない限り。


5 番Par-4では、狙い通りにフェアウェー右側へ240ヤードのドライブが打てました。20-30ヤードは右に曲がることは分かっていたのでフェアウェー左側へ向かって構え、落ちた地点もよくグリーンセンターまでは140ヤードほど。私にとっては狙い通りの完璧な出来。この日で最もよいティーショットでした。


しかしながら、2打目を激しくシャンクして池へ打ち込み、結局7打でホールアウト。このホールは5つで上がるのが目標ですから結局+2です。原因は、身体がボールに近づきすぎて構えていたことと、グリップに力が入りすぎていて結果手首か返らなかったことです。が、ここで動揺してはいけません。まだ5ホール終っただけで、残り13ホールも残っているのです。アプローチショットの幾つかが運良く旗の近くに寄れば、パーが獲れたりするわけですから、根気よくプラン通りにプレーをしました。結局13番と14番で運良く寄せることができ、この5番ホールのミスをキャンセル。もしそうでなくても、+2になってしまったのは仕方ない。残りのホールを全部ボギーにしても、結局92では上がれるのだから、それはそれで大きな進歩です。

Par-3をパーで上がるための戦略を考えてみる。

Par-3はできればパーで上がりたいものです。大方、グリーンのどこかを捉えることができれば、2パットで3つで収めることは100%ではありませんが、難しくはないでしょう。よほど嫌らしいラインが残らない限り。ピンを直接狙うのもありかもしれませんが、大抵の場合ピンを狙うと相応の結果は得られることがある反面、リスクも増します。私はハンディキャップが「プラス」ではありませんから、バーディを狙ってとることはできません。パーすら狙って取った、と言えないかもしれません。基本的な戦略としては、グリーンの中央、またはグリーンの広い場所、ミスをしてもグリーンに残りそうな地点をターゲットにすることです。尚かつ、昇りのパットが残る地点であることも重要。


例えば、Poppy Hills 6番に、レギュラーティーからグリーンセンターまで140ヤード程のホールがあります。このとき、旗はグリーンの左奥、丁度グリーンが狭まり手前に深いバンカーが配置されています。距離の判断および、左にミスしたボールは捕まるようにできています。旗はグリーンのエッジから2,3ヤード程度のところに切られていましたから、バンカーショットやチップショットをする場合に、あまり余裕がありません。この位置の場合、直接ピンを狙うのは得策でないな、、と思いました。中央や手前だったら狙うかもしれません。


グリーンの中央はわりと幅があり、ミスの許容範囲が比較的多そうです。勿論、左右に大きく曲がるボールはバンカーに捕まりますが、特に右側のバンカーなら、ピンと距離がある程度あり、安心してリカバリーすることができそうです。私のショットは右に曲がる傾向があるので、7番アイアンで打ったときには、(ティーボックスの右端から)ややグリーンセンターよりも左を向いておきました。


ピン傍につけたい、という欲はあるものの、ゴルフは18ホールのスコアを競う競技だと割り切っているので、今のハンデが2桁のレベルではスコアカードからダブルボギーが撲滅されればそれでよいのです。ですから、Par-3やアプローチショットはグリーンの中央(又は広い部分, fat area)を狙うことで大けがを防ぐ確率が増します。


今の所、ピンを直接狙うように戦略をたてるのはハンデが5以下になるか、グリーンの広い場所に旗が立てられているときだけかな。