大学院を幸せに過ごすための一考察

このエントリーは非常に誤解を招きやすい内容が含まれます。後日いろいろと修正が加わることが予想されますので何卒ご了承ください。ご意見等はなるべくemailでなくコメント欄でオープンにして頂けると幸いです。


幸せな大学院生活を送るために必要なこととは?


研究テーマ?



いいアドバイザー(指導者)?



オフィスメイト?



資金?



頭脳?



意志?



食事?



どれも重要ですが、最近ひしひしと体感しているのは(一単語でいうと) "社会性"かなと思います。誤解しないでいただきたいのは、自分は(先天的に)社会性は低い部類に入りまする。社会性があるとか, ないとかを鼓舞するわけではありません。しかしながら、人と接することが苦手な場合は特に、研究室のマネージャーとうまく仕事ができないとか、資金をもらえなくなるとか、いろいろと苦労する点が出てくるような気がします。


ということで次のような行列をつくりました。「社会性」と「頭の回転数」の2つの指標でわけ、4つのエリアについて考えてみます。これらは経験に基づくものであり、かなり主観的な判断なのであくまでも個人的な独り言としてお受け取りください。また、この区分けは「絶対」ではなく「相対」的に比較してという前提に基づいて作られてあります。本来大学院に入って来る程のポテンシャルがあれば、幸せに過ごすことはできるものだと思っています。


(けど、そうするとこのエントリーがここで終ってしまうので、先を続けます)

図: 個人性格マトリックス (仮題)

1. 頭脳明晰かつ人と接することに長けている

このエリアの人々は学位をとる興味がつきなければ、問題なく「幸せになれる」でしょう。ただ、後述の「特殊な状況下でのコミュニケーション方法」を知らないと在学中はどこかで余計な苦労を強いられるかもしれません。うちの知り合いにもこんな人がいるかも。。この人々は雇われるよりも、自分で人を雇う側に回るかな。


2. 頭脳明晰、頭の回転では他の追従を許さない (が、ちょっとコミュニケーションが苦手気味)

要は、頭がイカレているとしかいいようがないほど、「キレる」人たちです。こういう人たちは、クラスでA+を平気でとり、教授(=雇用主)の方から「うちのグループで働かないか? (=RAの誘い)」が来ることが珍しくありません。これは1の領域の人々にも然り。自己主張が強すぎる場合、自己抑制が効かなくなり、感情的に走る傾向がある。つまり、論理的に思考して冷静に話すことができにくくなる。どちらかと人をリードするよりも、完全なスペシャリストに向いている。社会性が少々かけていてもさほど問題がないが、「人マネージメント」をやらせると部下が後々かなり無駄な苦労をすることが予想される。逆に上司からすれば、これほど優秀な部下はいない。睡眠時間や余暇生活がなくてもわりとokかも。


3. 社会性が高く、コミュニケーション能力に長けている (が、2の頭脳には及ばない)

この人たちは、2の人々の頭の回転数には及ばないものの、元々大学院にまですすむポテンシャルを秘めている。人付き合いが上手で、持ち前のコミュニケーション力で、雇用主、チーム名とらと上手く協調し、資金も用意でき幸せな生活ができる。どちらかというとマネージャー向き。


4. ちょっと2,3の領域まで及ばない

どちらかというと厳しい。場数を踏み、トレーニングを受けることでコミュニケーション力は増すものだし、努力次第でQualifying Examに合格することもできる。1,2の人々に比べると幸せ大学院生活のハードルが高くなるのは否めませんが、99%の意志と努力、1%の運でなんとかなるかと。私は、入学当初は強いて分類すれば2と4のボーダーライン(4側)だったかと思われます。



大学院でPh.d.課程にすすむと、自ずと研究室との雇用関係が発生し、「非営利」の会社員になった生活になる。強いて言えば、責任の重大さが違ったり、少々失敗をやらかしても首切りにならなかったりするところが、甘いといえば甘いし、なんだかんだいっても学校は生徒を鍛え上げる「教育機関」だなと思います。ただやはり、オフィスで研究活動をして思うのは、「どんなタイプ(特徴)の人たちとも上手にやりあっていかないと、数年に及ぶ大学院生活は幸せには送れない」ということです。英語で喋れることよりも、人当たりがいいとか、感じがいいとか、協力的だとか、一生懸命だとか、そういう人としての当たり前のことがきちんとできることは地味に大切。自分がもし雇用者になったとしたら、働く動機付けがしっかりしていればスキルは後で付けられるからいいとして、社会性やコミュニケーション力をかなりの割合(5割以上)で重視するかも。



最近の例?としては、昨年の夏に研究室にインターンにきた高校生。17-year-old to present at science conference: 高校生のインターン生についてABC Newsからインタビューされました。のエントリーで紹介しましたが、1人の生徒が学会で発表、その後またスタンフォードのバイオ関連の研究室でインターンの機会を見つけるといった(もし彼とおなじ年代だったら)羨ましすぎる機会を手にいれています。彼の印象は、やはりよく「笑う」こと。笑顔は人を呼び、繋げる。私の間違いだらけの英語(スマン)で説明しているときとか、折に触れて感じよく振る舞ってくれていました。人生、笑った方が特です。


特殊な状況下でのコミュニケーション力

いくら話す事が流暢、論理的に正しくても、通用しない人々が現れることがあります。先天性の事情で人と接するのが難しい人たちに、大学院などではしばしば出会うことがあるかもしれません。とくに頭がキレそうな人々が集まる場所で (高等教育機関とか、研究機関とか)。


そういう場合は「特殊」なため「普通」の話し方では通用しないかもしれません。はてなダイアリーでさらに深く掘り下げて書く事はかなり気が引けるので具体的に書くのは避けますが、次のことが役立つでしょう。

  • 口頭だけで話さない、ホワイトボードや紙に図、記号、文字をかきながら、視覚から情報を入れてあげるようにする。口でいくら正しい(普通は明確に通じる)ことを言っても効果がかなり低いです。
  • 仕事の期限や何かを約束をするときは、デジタルにする。たとえば、「すぐにやる」じゃなくて、「24時間後に終らせる」とか。「少々まって」じゃなくて、「5分間まって」とか。
  • 頼まれた事を「やった」と伝える時は、証拠をビジュアルで示せるといい。逆に見せないと、不安で納得されないことがある。
  • 仕事の終わりを忘れずに定義する。