Stanford University 学校事情(2): Research Assistantship (RA)が授業料と生活費をサポートする
第2回は, キャンパス内の住居事情についての予定でしたが, 順番を変更して大学院生がどうやって授業料および生活費を準備するかについて(の一例)を紹介します.つまりRA/TA(Research Assistantship/Teaching Assistant)について.
RA/TAのrate, qualificationなどはプログラム, 学校によって大きく異なります.ここで紹介することが全てではありません.あくまでも個人の経験談です.
第1回ではStanfordのGraduate School(特にSchool of Engineering)の授業料について紹介しました.今回のテーマはそれを一体どうやって払うかというのがテーマ.
Research Assistant
自分の所属する学科:Aeronautics and AstronauticsのHPでは以下のように説明されています.
Research Assistants
Aero/Astro research assistantships are usually considered part of a long-term commitment to doctoral-level research, so it is rare for an incoming student to receive an RA offer in this department.The research assistants are selected by individual faculty members, who will usually have worked together with the student in one or more courses, and in some directed study, before deciding on an RA appointment. Salaries are set by the faculty member according to department standards, within limits set by the University and School. Generally, salaries are highest for students who have passed the Qualifying Exams, and lowest for those who have not received the M.S. degree.
RAは院生が稼ぐ方法のもっとも一般的な方法の1つです.どのような仕組みで動くかというと, 研究室(または研究プロジェクト)を仕切る教授の研究を手伝う(assist)ことへの報酬として毎月給料および授業料を得ることができます.
ただ↑のようにうちの学科では, Masterで入学してきて初年度からいきなりRAゲット! ということは希有と明記されています.
具体的な待遇はどうなるかというと(2004-2005年度の例), 以下のようになります.
授業料(10単位までの制限): $6,900 医療保険の半額: $258 毎月の給料: およそ$2,000
これは秋・冬・春学期の場合で, 授業があまりない夏学期は授業料の負担が減る代わりに, 月々の給料の割合が増えるケースもあります.例えば授業を3単位分だけとると給料はほぼ倍になります.しかしながら, 税率が大きくなるので手取りでは$3,000程度ですが.
Most Aero/Astro RA's are half-time positions. During the academic year, assistantship appointments may not exceed this level, which means 20 hours/week of paid work. (The other "half" of the time is courses and/or research units.) In summer, some labs will allow 75% or 90% RA appointments, with correspondingly higher salaries.
1週あたり20時間働くというのが規定労働時間になり, 10単位まで授業を取ることができます(=50% RA).先述した給料が約倍になるというのは90% RAというやつに相当します.以前は100% RAというものが存在したのですが, Internal Revenue Serviceの決定により廃止されたそうです.
年間にしてみると,
授業料: $6,900x3 + $2100 = $22,800 医療保険: $258 x 4 = $1,032 給料: $2,000 x9 + $3,000 x3 = $27,000
となります. 家賃($600〜$900が相場),食費,書籍,娯楽など(工夫次第で貯金も可能)充分にまかなうことができます.
ということで, アメリカで大学院生に出会ったら, 収入は平均値にはほど遠いですがあまり貧乏人扱いしないように.ゴルフ場でたまたま出会って「バイトじゃGreen Feeもけっこうしんどいでしょ?」などと日本的な感覚で的外れなことを軽々しく言わないように. お金は欲しいですがバイトなんてする必要ないですし, そもそも原則的に経済的正当な理由がない限り違法ですから. Palo Altoの一世帯の平均年収は$100,000を越えるので卒業するまでは平均値を負の方向に上げることにしか貢献できませぬが....
RAはどうやってアサインされる?
RAとして学生を一人雇うにしても随分な人件費が掛かるということが言えます.そして, 雇う側である教授にしてみればどの学生を雇うかというのは研究を進めて実績を上げて, Grantを稼ぐことに直結してきます.
RAをもらうには研究室の仕切り役(社長みたいな存在)である教授と直談判せねばなりません.成績超優秀な学生(たとえばGPA>4.0みたいなケース)には教授側から逆に"一緒に働かないか?"というオファーをもらう事例もあります.私のような, 成績が... という場合はとりあえず働かせてもらってポテンシャルを示す必要があります.あと時間の運が作用するともいえるでしょう.
学部生のころ, 大学院へ準備を行くしていたころは雑誌などでアメリカの理系の学生はタダで勉強ができる!と記述されてあるのを少なからず目にした(加えて鵜呑みにしてました)のですが, こちらに来て初めてそれが必ずしも真ではないことに気がつきました.....遅い. Ph.D.プログラムに格上げされてからはタダで勉強ができて, 経済的自立ができてはいるのは事実です.
これは書籍やwebで見掛けたのですが, Admission(合格通知)と同時にRAがアサインされているケースもあるようです(←学校・プログラムにより異なります).
Teaching Assistantについて
TAの待遇もRAと同じで, 月々約$2,000の給料と授業料を雇主である教授が支払ってくれます.TAがもらえるかどうかは, assitantをする授業で(過去に)いい成績を修めたかに依存します.たとえばA, A+をとったかどうか.また, プログラムによってはTAが義務付けられていることもあります.
Masterではどうしたのか?
Masterを取得するまでの約1年半は両親からの援助を頼りにしていました.本当に感謝しています.Ph.D.取得後10年以内に耳を揃えて返済することにしています.
明細は以下のようになってますので...(出典: 独自作成のユビキタス家計簿)
2002-2003秋までの授業料および家賃: $53,408 その他の出費: $19,773
その他の例では, 会社派遣の方は会社側が負担, 会社を退職して勉強をしている方は貯金を投資, 奨学金を得て来ているケース, または最初からRAを得ている優秀な学生.