Stanford University 学校事情(11): オンラインで見える授業
新学期および新年度が始まりました.
今回はオンラインでみられる授業をいくつか紹介します.秋学期はintroduction, fundamentalな授業が数多く行われるので, 聴講してみるだけでも随分と再確認・整理になったりします. 圧縮流体の流れ, 構造力学, 古典力学(ニュートン力学), 線形代数・線形システム などもう一回とってみたいものばかりでございます.
EE263 (Intro. to Linear Dynamical Systems, Prof. Boyd)は一番のお薦めです. 大学教材, 講義の手法(lecture, public speaking)などなど, 様々な分野の人達にとって学ぶべきことが盛り沢山です. 個人的には彼の授業(EE363 Linear Dynamical Systems, EE364 Convex Optimization)を取るためにEE Masterへ入学する価値があるかもしれません.
http://www.stanford.edu/class/ee263/
SCPD
Stanford Center for Professional Development (SCPD)によって, Engineering, Science系の授業が校内のケーブルTV, インターネットのストリーミングで配信されています. ケーブルTVはリアルタイムで行われるので(要するにテレビ中継), 風邪や足を怪我して身動きがとれない..., といった状況化ではすごく便利です. 当然ながら不覚にも寝過ごした場合にも.
残念ながら, 全ての授業が見られるわけではなく, (撮影用の)設備の整った教室で行われる授業でないと配信されません. 必然的に登録人数の多い, 基礎的な科目, もしくは人気の高い授業が対象です. 私が今とっている, Engr210A: Robust Control Analysis and Synthesisといった若干Advancedな授業は教室へ行って聞くほかありません. ちなみにこの授業(Engr210A)は H2, H∞制御について講義がなされます.
配信される授業
ここに一覧が表示されます.
http://scpd.stanford.edu/scpd/students/dam_ui/pages/quarterList.asp
これらは、基礎的な授業:
- AA210A Fundamentals of Compressible Flow: 圧縮性流体の流れ
- AA214A Numerical Methods in Fluid Mechanics: CFDの入門, 214B,Cと続きます
- AA240A Analysis of Structures: 航空機の構造力学
- AA242A Classical Dynamics: ニュートン力学.運動方程式の組み立て
- EE261 The Fourier Transform and Its Applications: フーリェ変換
- EE263 Introduction to Linear Dynamical Systems: 線形システム(お薦め)
- E205 Introduction to Control Design Techniques: 制御工学(古典+現代)
Aero/Astroの科目(+数学)しかよく知りません...
どれか1つの授業を覗いてみてください. 理系で背景知識がある場合は意外にも、「なんかわかりそう」、または「よくわかる」と感じられるのではないでしょうか。「英語で授業を受けるなんてしんどいでしょう」と聞かれることがありますが, 講義を聞くだけなら思ったほどは難しくありません. これがまたディスカッション形式の授業(私は取ったことがありません+工学系にはない)になると, 英語力がものをいうでしょう.
ストリーミングの効用
授業を聞くことは, 背景知識があったり, 専門用語をある程度しっていれば, さほど苦にならないことが少なくないです. とはいえ、慣れない英語. 日本語で生まれ育った人(自分)にとって, 理解があやふやになることは日常茶飯事です. ストリーミングは何回でも無制限に聴く(視る)ことできるので, 分かりにくかった部分を授業後に聴き直すことができます. これは良い復習にもなりますね.
最終的には宿題に取り組まないと理解できないことだらけなんですが..
手書きの講義ノート
この本題と外れます.
今, Engr210A: Robust Control Analysis and Synthesisを取っていると冒頭で書きました. これは新設された授業で, 先生が時間がなかった為か, ノートが全て手書きです. 御世辞にも綺麗な文字とは言えなくて, エジプト文明時代の石碑に書かれた文字を解読するように読まなければならないことがあります.
この教授(Prof. S.Lall)が担当する別の授業(Engr207a,b, Modern Control I, II)では, TeXで素晴らしくノート、宿題、試験を作ってくれていたんですが, かなり困ります. 数式がたくさん入るので結構手間がかかるんでしょうねぇ.
http://engr207a.stanford.edu/
http://engr207b.stanford.edu/
講義ノート類が汚いという理由でこの授業を切ろうかと考えていましたが, Engr210Aが対照とするRobust Control理論は, 今取り組んでいるGRS(Gravitational Reference Sensor)用の温度制御に直結するので外せないです. システムパラメータの変動・見積り誤差, ノイズが絡む場合の取り扱い方がまさに問題になっています.