学校事情(31): Ph.D.は無駄なのか

よく受ける質問の中で, こんなのがある.

Ph.D.なんかを5年も6年もかけて時間を投資 (浪費) するくらいなら、大学を卒業してすぐに働いた方が生涯賃金は多くて, (金銭的に)より幸せなんじゃないか?」


収入に関しては一理あり. Financial literacyを身につけて賢く運用すると20, 30年の間に大化けするでしょう.  3000\times1.35^{20} > 10^6 ですから. けど, 自分としては生涯どれだけ稼ぐとか, 年収が人より多いとか少ないとかはあまり気に留めていない. それよりも, 年間や四半期のある決まった期間内における入出のバランスを気にします. 例えば年間で1億円の収入があって, 1.01億円の支出があったとすると. 結局は, 高収入のくせに正味で100万円の赤字を出しています (マネージメントに問題がある). それだったら, 1000万円の収入で900万円の支出に抑えられるように管理して, 正味の余裕の部分で幸せになる方法を考えた方がまし. 要は如何に正味(net)でプラスにコントロールできるかどうかが, 収入の額よりも重要なのではないでしょうか?



Ph.D.は決して「水戸黄門の印籠」ではありませんし, 持っているからといって何かしらの成功が保証されているものではありません. 価値がないと判断するならそれもまたその人の価値観では正しいことなのではないでしょうか. 所詮はただの学位です. それが万人に受け入れられるような幻想は抱いてはいません. 自分は経済面以外でも価値があると思うから取り組んでいるだけのこと.